高額療養費制度の見直し、政府や厚労省は何が欠けていたのか? 元事務次官の分析

患者団体の猛反発で修正を重ね、凍結に追い込まれた高額療養費制度の見直し。保険局長を務めた経験もある元厚生労働事務次官はどう見ていたのでしょうか?
岩永直子 2025.04.05
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高額療養費制度の見直しが凍結された新年度当初予算案が国会で成立した。

自己負担上限額を大幅に引き上げようとした政府案が、患者団体の猛反発を受けて修正を重ね、凍結に追い込まれるという前代未聞の展開を、元厚労省の事務次官はどう見ていたのか。

元事務次官で、保険局長を務めた経験もある日本年金機構副理事長の樽見英樹さんに聞いた。

自身も最近、がん治療を経験したが、ギリギリ高額療養費は給付されなかったと語る樽見英樹さん(撮影・岩永直子)

自身も最近、がん治療を経験したが、ギリギリ高額療養費は給付されなかったと語る樽見英樹さん(撮影・岩永直子)

厚労省として見直しは自然な発想

——今回、政府からなぜあのような国民から猛反発を食らう見直し案が出たのだと思いますか?

高額療養費制度の自己負担上限を上げることやその方法自体は、厚労省としてある意味、非常に自然な発想だと思います。

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