大阪IRの運営に乗り出す企業に、公益社団法人が資金の流れなどを質す公開質問状を送付
大阪・夢洲地区のIR(カジノを中心とした統合型リゾート)運営に乗り出す企業が犯罪収益を取り込んでいる疑いがあるとして、計画の認定取り消しと執行停止が申し立てられた問題で、申立人の「ギャンブル依存症問題を考える会」は7月19日、この企業に対して公開質問状を提出した。
同会はこの企業が違法なオンラインカジノを経営していた別の企業を買収したことによって犯罪収益を取り込み、それを大阪IRの運営に使う「マネーロンダリング」の疑いがあると指摘しており、資金の流れを追及している。
申立てに反論するも、資金の流れが不透明
まず、これまでの流れを見ておこう。
公開質問状を出した相手は、大阪IRの運営主体「大阪IR株式会社」の大株主(約40%)となる合同会社「日本MGMリゾーツ」と、その親会社の米国「MGMリゾーツ・インターナショナル(以下インターナショナル社)」。
インターナショナル社は2022年9月頃、スウェーデンを拠点とするオンラインカジノ運営会社「レオベガス社」を買収した。
そのレオベガス社は、2018年10月頃から、刑法で常習賭博を禁じる日本では違法とされるオンラインカジノ「ロイヤルパンダ」「レオベガス」を日本向けに運営し、3年間で約5601万ドルの営業利益を得ていた。ちなみに違法なオンラインカジノで得たこうした利益は、組織犯罪処罰法で「犯罪収益」に位置付けられている。
同会ともう一人の大阪在住の申立人は7月13日、大阪IRの整備計画を認定した国土交通大臣に対し、大阪IRの運営主体となる「日本MGMリゾーツ」の親会社が犯罪収益を取り込んでいる疑いが事実ならば不適格だとして、IR計画の認定取り消しと執行停止を申し立てた。
それに対し、日本MGMリゾーツはウェブサイト上で「一部団体によるご主張につきましては、事実無根であり、かつ誤解を招きかねないものでありますので、MGMとして全く容認できません」とする反論コメントを掲載。
ただ、何が事実無根であるのか、申立人が問題としている資金の流れも、このコメントでは明らかにされていないとして、同会はそれを質す公開質問状を出した。
資金の流れや取引関係について追及する質問
同会は今回、違法なオンラインカジノによる事業収益や資産がレオベガス社内部に残されたままMGM社は買収したのか、レオベガス社が買収される前にオンラインカジノ事業を譲渡した企業との間で事業譲渡に関する契約が結ばれたか、その際、対価を得ていたか、また、レオベガス社がオンラインカジノ事業を譲渡した会社と契約や取引関係はないかなどを質問している。
MGM社に対して「ギャンブル依存症問題を考える会」が出した公開質問状
公開質問状を送った同会代表の田中紀子さんは、その理由と目的についてこう話している。
「MGM社らのホームページ上の反論は、当会の大阪IR整備計画の認可決定に対する審査請求及び執行停止の申し立ての回答になっていません。よって公開質問状で疑問点についてお尋ねすることに致しました。尚、この質問状は当会よりMGM社にメールでもお送りしております」
「日本では違法となっているオンラインカジノですが、レオベガス社が日本向けサイトを運営していたことは間違いありません。MGM社は、そのことを知りつつ買収に至っています。その不当に得た資金はどこにいったのか?MGM社は大阪IR株式会社の中核的な株主として明らかにする義務があると考えます」
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